≪ツラクモ堂≫

日曜画家つらくも七瀬の活動記録。詩雑誌「詩の国よりの使者」お知らせなど。

廃墟文藝誌 第捌版 参加しました

 

先日参加した公開文藝部の「廃墟文藝誌」が公開されました。

表紙を担当しましたよ。

 

 

今回の公開文藝部では、9人の参加者が、お題・制限時間付きで2本の小説を書きました。

が、わたしは一本目の小説を書くので力尽き、2本目には四コマ漫画をかきました。

それが「ワンピース舌なめずり子ちゃん」。

上記文芸誌の末尾に掲載されてます。よかったらどうぞ。

 

(掲載者:後藤章大、美洸、大竹紗世、そーや、千裕、川井ケージ、鈴音こうし、小島達史、つらくも七瀬)

 

 

それから、ワンピース舌なめずり子ちゃんだけではいろいろ勘違いされそうなので、真面目に書いた一本目の小説をここに掲載しておきます。

いろいろと不完全な文章ですが、よかったら春の夜にどうぞ。

 

 

 

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[お題:エレキテル/地下鉄/廃墟 執筆時間:1h?] 

「エレキテル君の日々」

著 つらくも七瀬

 

 

日が落ちた。風が冷たくなった。僕は鉄の竜の背中を掻いている。竜はたぶん眠っている。じっと動かない背中の、分厚い鉄の甲羅から、銀や赤の塗料の名残を落としていく。何十年も前に塗装されたが、整備を受けずに雨ざらしになったかわいそうな竜。塗料の被膜は歪んで皮膚から浮いている。あるいは鉄の錆びたのと混ざってでこぼこの、ざらざらした脆い砂に変わりかけている。僕は錆びた竜の姿を沢山撮った。木々や草に囲まれて、陽射しを受けた竜の姿は素敵だった。そしてもう二度とこんな景色の中にこの竜は居られない。廃墟に眠る竜。見上げるように全身を写した。あるいは近づいて表皮の色合いを残した。二度とない、古い世界の名残。

そして日が暮れ始める頃、僕は作業に取り掛かった。竜の甲羅の錆びを落とし、磨き上げ、油を差し、塗装しなおしてから連れていく予定だ。竜は地下の世界で人を運ぶ。

 

表皮を爪で掻き剥がす。劣化した塗装はぼろぼろと落ちる。それから露出した真皮の錆びを、大きなやすりで削っていく。竜はとても大きく、削るべき表皮は広い。地上に電動機器は持ち込めない。今まで、電動やすりで削ってきた竜の甲羅のことを思う。破片が粉になって飛び散るのを見るのは気持ちがよかったけれど、いま僕は自分の腕で、やすりを使って磨いている。電動機器がなくとも竜は磨けるのだ。僕はのんびりとやる。そのために来たのだから。

 

 

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以上、地下鉄の比喩として竜を使用しました。電車って、何か大きな生き物みたいだなとよく思うのです。冬は椅子に座ると生暖かい息を吹きかけてくるところとか特に生き物っぽい。

 

それではまた。