≪ツラクモ堂≫

日曜画家つらくも七瀬の活動記録。詩雑誌「詩の国よりの使者」お知らせなど。

ツラクモエガクベストル

2016年03月20日、「ツラクモエガクベストル」開催しました。今回はそのレポートです。
長文、かつ非常に写真の枚数が多い記事となっております。そのため、通信環境の良い状況での[続きを読む]閲覧をお勧めいたします。

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Photo by イシカワタカト(ベス)

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目次
1・導入
2・始動
3・本題①
4・本題②
5・まとめとお知らせ

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1▼導入
ある日TwitterのDMで、写真家・造形作家のイシカワタカト(通称 ベス)さんからこんな連絡が来ました。

「つらくもさん、でっかいキャンバスに絵を描きませんか?」

そりゃあ楽しそうだ!ベスさんの用意してくれたキャンバス布は170cm×130cm四方のサイズ。
ざっと言って二畳弱、つまり人が寝れるサイズ。素晴らしいですね。
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(こちらが今回のために用意した自立型キャンバス枠!!この大きさ、ワクワク感、おわかりでしょうか。)

日曜画家として大きなキャンバスは長年の憧れでしたが、私はアトリエを所有していないので、大きな作品の制作には手が出せないでおりました。
そこにこの嬉しいチャンス。


2▼始動
というわけで、この大きなキャンバスを使う機会を最大限にたのしくするため、企画を立ち上げることに決めました。
それが、Twitterで散々つぶやいてきた
【ツラクモエガクベストルです。

メンバーは、
 発案者・写真作家のベスさん  --Twitter@takato19

 日曜画家のつらくも      --Twitter @turakumo12

 音楽・映像のイザワヒロトさん --Twitter@izawaction1203  以上3名。


イベントのコンセプトは「野外アトリエとして提示する、インスタレーション」。
このイベントにおける最大の目的は、野外で制作に没頭する作家の姿・魂の動きをインスタレーションとして提示することでした。
野外にアトリエを構えた画家は、周囲の環境である風や光に影響されて絵画制作を行います。
そしてその周囲の環境を内包するキャンバスと、それに向けられる画家の魂を写真作品として捉えるべく、写真作家は撮影を行う。


それが、ツラクモエガクベストル


つらくもが描き、その様子をベスが撮る。で「ツラクモエガクベストル」。そのまんま。でもこのタイトル、各所で絶賛されました。
(タイトル発案はベスさん。)

絶賛の結果、当日ツイッターにて「ツラクモエガクベストル」をパクりもじった実況ツイートがあふれる結果に(笑)皆さん、本当にありがとうございました。



つらくもが描き、ベスが撮るイベントとして生まれた「ツラクモエガクベストル」ですが、今後この名前をひとつのイベントの形として捉え、別の作家さんや別の手法とコラボレーションする企画……つまりツラクモエガクベストル・セカンド(仮)の構想も生まれていて、いまお話を進めているところです。

また開催が決定した暁には各所で告知・連絡致しますので、なんとなく楽しみにお待ちください。



3▼本題
さて、ツラクモエガクベストル、当日の話。

2016年3月20日
名古屋 鶴舞公園の池のほとりにこんなすてきな野外アトリエが立ち上がりました。
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大きな樹々に囲まれた木漏れ日のアトリエです。
春一番の晴れた日で、涼しい風がとてもよく吹く日でした。日は暖かかったけど、木陰は少し肌寒いくらいの日です。
私は風に吹かれるのがとても好きなので、制作をするにはぴったりの日でしたね。

画家つらくもの用意よし。写真家ベスさんの用意よし。そして動画撮影と、音楽担当イザワさんの用意もよし。


……そうそう、ここでイザワさんの音楽について述べておかねばなりません。

イザワさんが当日演奏した感触をもとにして制作した、ツラクモエガクベストルのための書き下ろし音源がこちらのSoundCloudにアップロードされています。
私のお気に入りは3曲目「キミハダレ」ですね。ぜひここから先は曲を聴きつつお読みください。

当日は、ループするベーストラックにイザワさんが生演奏で音を加えていくという手法で演奏されましたが、この音源ではその様子が再現されていますよ。

今回イザワさんに音楽をお願いしたのは、その場に居る生身の人間が、その「場」つまり、日や風の状況や画家の制作状況に影響されたうえで紡ぎだす音楽に、私が影響されてみたかったからです。それが結果的に、絵にも、写真にも、場全体に良い結果をもたらすことになりました。


4▼今度こそ本題:当日の流れを追う
それでは、イザワさんの音楽を聴きつつ、、お待ちかね、ベスさんの写真で当日の様子を観ていきましょう!!
以下、記事に使用されている写真はベスさん撮影のものになります。
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(珈琲を豪快にハケで塗る。風に珈琲の香りがただよう。)
▽描き始め PM01:00~
はじめは大きな画面を試すように、ダイナミックに色面を展開します。ざっくざっくと塗っては重ね、絵の形がどんどん変化していきます。
「どんどん画面が変わるので、タイムラプス動画を見ていたみたいで楽しかった」
という嬉しいご感想もいただきました。私も描いていてとても楽しかったです。全身のバネを使って描きました。絵画とは肉体労働だったのか…。

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(沢山のお客さんに見守られる野外アトリエ)
ちなみに、ツラクモエガクベストル当日のライブペイント・タイムラプス動画をイザワさんに頼んで制作お願いしております。バッテリーが持たなかったので全部の映像は撮れませんでしたが、前半のキャンバス変化はバッチリ撮れているそうですよ。当日来られなくて、「見たかったなあ」という方はその動画をたのしみに待つのも一つの手ですよ。
またアップロードされたらここのブログでもお知らせいたします。お楽しみにー。


▽音楽と共に PM03:00~
イザワヒロトさんの音楽が鳴り始め、踊るつらくも。
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ここまでの時点で、すでに絵は収束を見せており、私は画面に行き詰まりを感じていました。これが公開制作でなかったら、一度筆を置いて「続きは後日」としていたでしょう。下地の完成、という感じです。
だけどもそこで終わらないのがライブペイント。背中を押すのはイザワさんの音楽です。
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「描く」ことは肉体の運動であり、「踊り」もまた同じです。
だから本来、絵を描く場面で人は踊れず、踊る場面で人は絵を描けないと、私は考えています。

それでも今回この場で踊りを入れたのは、絵を描くという動きそのもの、描かれて変化していくキャンバスの画面そのものを一種の舞い・踊りと捉えて、「肉体の踊り」と「絵の具の踊り変化する様子」を交錯させて体現してみようと思ったからです。

……という小難しい話は、いまこの記事を描きながら改めて考えたことでありまして(笑)
当日はただただ音に乗って色を置いていくこと
そして風を受けながら、「この絵に何が必要か?」ということを考え続けていました。

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透明バットに入れた珈琲をばしゃーっとかけて、ひと段落。
今回は絵の具の他に、珈琲とワインを画材として使いました。キャンバスの表面を垂れる様子で遊べる他、深みのある色が出てとても好きなのです。飲んでも美味しいし。


▽収束 PM03:40~04:00
踊り終えた先、色の波が戻ってきました。リズミカルに色を置いていく作業が続きます。
この最後の20分間、自分ではとても長い戦いだったように感じたのですが、実際には怒涛の勢いで絵が進行していました。
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たくさんのお客さんに見守られております。ツラクモエガクの初めからずっと観ていてくれたお客さんや、何度も足を運んでくれた公園を散歩中のおじさんおばさん外人さん……いろんな方に見守られ、ほんとうに嬉しかったです。f:id:c_nokuni:20160330104348j:plain
↑最後に目を描きこんで(画竜点睛というやつですか…)

↓記念に日付を書いて
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終わり。
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激しい色合いの中から誰かがどこかを覗いてるような絵に仕上がりました。

今回制作した絵は、今後も少しずつ手を加えていき、9月に開催の個展にて展示するつもりです。
人が寝れる大きさの絵画、ぜひ見に来てくださいね。
個展は2016年9月26(月)~10月1日(土) 伏見地下街夢画廊にて開催です。
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5▼おわりに。それからお知らせ。
今回の首謀者・写真家のベス イシカワタカトさんも今後個展に向けて様々な人物、情景をカメラに収めていくそうです。被写体の募集もしているので、気になる方は気軽に連絡してみては?
人物の切り取り方、アンニュイな情景の収め方には一種のオーラを持つ方です。


そして今回、音楽と、CM動画制作、およびいろいろな計画のお手伝いをしてくださったイザワヒロトさん。今後様々な分野で精力的に活動していくそうです。
楽器や映像撮影機器など、良い機材を持っておられるので、何かお困りのときには声をかけてみては?
Twitterアカウントに、ちょこちょこ音楽の演奏動画をアップした動画をつぶやいてもいるみたいですよー。


以上。いかがでしたか?
ツラクモエガクベストルに来てくれた方には面白さに深みを、観に来れなかった方にも面白さのおすそわけを。と考えていたらこんなに長い記事になってしまいました。スマートフォンの方、すみません。

それでは、ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。嬉しいです。
これにて、「ツラクモエガクベストル」のレポートを終わります。

桜咲く季節、みなさんは何してますか?何しますか?
またお会いしましょう~。


次回のつらくもライブペイントは、「ゼロコンタクト雨天決行!」になると思います。よかったらお越しください。場所は鶴舞K.Dハポンです。詳細はコチラ~ゼロコンタクト公式サイト